高松高等裁判所 平成3年(行コ)5号 判決 1992年6月29日
高知県中村市本町一丁目二二番地
控訴人
大塚栄松
高知県中村市新町四丁目四番地
被控訴人
中村税務署長 脇本利紀
右指定代理人
栗原洋三
同
片野征夫
同
小川満
同
宮武輝夫
同
田中廣海
同
藤本勝
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和六〇年一月二四日付けで控訴人の昭和五六年分、昭和五七年分及び昭和五八年分の所得税についてした各更正のうち、昭和五六年分について総所得金額一六二万〇九七〇円、昭和五七年分について総所得金額一四五万七八〇〇円、昭和五八年分について総所得金額一五一万八一四〇円をそれぞれ超える部分及び各過少申告加算税の賦課決定をいずれも取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
二 当事者双方の主張は、控訴人において、「(1)控訴人は、当時加入していた頼母子講の利息として、昭和五六年分金二九万四五〇〇円、昭和五七年分金三三万八六〇〇円、昭和五八年分金三四万三〇六〇円を支出したので、これらは特別経費として控除されるべきである。(2)控訴人は中村チケットに対し、昭和五六年分金八四万三四九七円、昭和五七年分金八九万一八九六円、昭和五八年分金一〇〇万九八一三円(原審における主張の数額を改正)の各手数料を支払ったところ、これらは特別経費として控除されるべきである。」を陳述し、被控訴代理人は、右控訴人の主張は争う、と陳述したほか、原判決事実摘示のとおりであり、証拠の関係は、原審記録中の書証目録及び証人等目録並びに当審記録中の書証目録に記載されたとおりであるから、これらを引用する。
理由
当裁判所も、控訴人の請求は失当として棄却されるべきであると判断する。その理由は、次のとおり付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。
控訴人は、まず、本件各係争年分につき、前記のとおり、頼母子講の利息を支払ったので、これらはいずれも特別経費として控除されるべきである旨主張する。
しかしながら、当審において提出した甲第五二号証の二ないし四には、右控訴人の主張に副う記載があるが、右はいずれも控訴人自らが作成したメモ程度のものであり、その作成の日や基礎資料の存否も不明であって、たやすく信用することができず、他に控訴人の右主張を認めるに足りる証拠はない。
次に、被控訴人は、原審において、控訴人の主張する本件各係争年分の中村チケットに対する手数料(原判決第五表の支払手数料欄の金額)を特別経費として認めているところ、控訴人は当審において、昭和五七年度及び昭和五八年度の中村チケットに対する手数料の増額を主張するが、控訴人の主張する額を支払手数料と認めることのできる証拠はない。
控訴人の主張はいずれも採用できない。
よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 安國種彦 裁判官 田中観一郎 裁判官 井上郁夫)